大地震による死因と火災
2011年3月11日の東日本大震災から5年が経過しました。この震災で命を落とされた方に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われたすべての人にお見舞い申し上げます。
総務省消防庁の東日本大震災記録集によると、東日本大震災における死因は、溺死90.6%、圧死・損壊死・その他4.2%、焼死0.9%、不詳4.3%となっており、津波によって多くの方が亡くなりましたが、火災による死者数の割合は低くなっています。
一方、阪神・淡路大震災における死因は、圧死・損壊死・その他83.3%、焼死12%、不詳3.9%となっており、火災による死者数は1割以上と東日本大震災と大きく異なります。
しかし、物的被害をみてみると、火災(津波火災を除く)については、地震で損傷した家屋における電気配線の半断線、ショート、漏電による出火や、地震動による電気ストーブ等の転倒や可燃物がストーブ等へ落下したことによる出火、また、停電のため使用していたロウソクによる出火など、その出火原因は共通しています。
「通電火災」とそのメカニズム
今後、30年以内に70%の確立で発生するとされるマグニチュード7級の首都直下地震。この首都直下地震による建物被害は61万棟にのぼり、そのうちの火災による焼失は、42万2000棟と想定されています。
また、火災は、環状8号線の内側の木造住宅密集市街地を中心に同時多発的に発生し、蒲田消防署・消防団管轄区域内でも、建物の倒壊や渋滞で消防車が現場に到着できず、炎に囲まれて多数の死傷者が出ると考えられます。
同じ都市直下型地震である阪神・淡路大震災では、出火原因が分かっている139件中85件が、東日本大震災では110件中71件と、ともに6割強が電気に起因する火災で、「通電火災」と呼ばれています。
首都直下地震の被害想定では、およそ半数の世帯で停電が発生するとされています。停電から電気が復旧したときに電気ストーブや発熱器具のスイッチが入ったままだと、当然その電気製品は作動します。そしてそれらの電気製品の近くに可燃物があったり、余震で電気製品が転倒したり、上から落ちてきた可燃物に引火することで火災が発生します。
また、電気製品のスイッチを切っていたとしても、激しい揺れによる転倒や落下で電気配線が損傷していたり、電気製品そのものが損傷することで、電気が復旧したときにショートして発火することもあります。
「通電火災」を防ぐ
では、その「通電火災」を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?
それは、地震発生後に揺れが収まったらブレーカーのスイッチを切ることです。
しかし、激しい揺れに見舞われた直後で動揺したり慌ててしまう状況のなか、確実にブレーカーのスイッチを切ることができるでしょうか?もしかすると家中の物が散乱したり家屋の損傷で、分電盤までたどり着けないかもしれません。
そんなブレーカーの切り忘れを防ぐ方法としてお勧めなのが「感震ブレーカー」です。
「感震ブレーカー」とは、地震による揺れを感知して自動でブレーカーを落とす装置のことで、いろいろな種類のものがありますが、比較的安価で取付が簡単な「感震ブレーカーアダプター ヤモリ」をご紹介します。
この製品は、取り付けが非常に簡単で、位置を合わせて貼るだけ。これだけです。
電気工事はもちろんのこと、穴開けとか、加工など一切不要です。
本体の設定ですが、揺れの強さを震度5強と6弱から選択できます。そして、それぞれ設定した震度以上の揺れを感知すると、バンドが下降してブレーカーのスイッチが押し下げられ、電気が遮断されます。
これで大きな地震が起きてもブレーカーを切り忘れることはありませんし、万が一、作動しなかったとしても、感震ブレーカーを取り付けたことで、地震の時にきちんと作動したかを意識するようになるので、切り忘れを防ぐことが期待できます。
しかし、課題も
簡単に設置できる感震ブレーカーですが、課題もあります。
夜間に地震が発生した場合に真っ暗になるので避難の妨げになったり、在宅用医療機器を使用されている場合には、生命に危険が及ぶことも考えられます。
また、火災は燃え広がりますから一軒だけの設置ではその効果は期待できず、その地区・地域全体で普及させる必要があります。
2014年2月に内閣府が発表した防災に関する世論調査によると、「設置済み」と解答したのは僅か6.6%に留まっています。また、自治体によっては感震ブレーカーの設置に対する補助金制度を設けていますが、ほとんど知られていないのが現状のようです。
大田区では、この「感震ブレーカーアダプター ヤモリ」のあっせんを行っています。
詳しくは、大田区のホームページ(https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/jyosei/assennsaikai/index.html)をご覧ください。
ぜひ、この「感震ブレーカー」を自宅に取り付けて、ご近所やお友達、知り合いに勧めてください!!